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祝宴 (ハヤカワ・ノヴェルズ 競馬シリーズ)

祝宴 (ハヤカワ・ノヴェルズ 競馬シリーズ)
ディック・フランシス
祝宴 (ハヤカワ・ノヴェルズ 競馬シリーズ)
定価: ¥ 1,995
販売価格: ¥ 1,995
人気ランキング: 706位
おすすめ度:
発売日: 2007-12
発売元: 早川書房
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

オールド&ヤング。
イギリス、ニューマーケット競馬場の近くに店を開く、マックス・モアトンは、史上最年少で
ミシュランのひとつ星を取った男だった。そんな彼に、身の覚えのない「食中毒」の嫌疑が
かけられる。そして、その直後に遭遇する爆弾テロ。これ偶然か、それとも・・・。

かつて、評論家:青木雨彦氏は「作家は、しばしば自分の作品に登場する主人公をさして
”◯◯(主人公の名)は私だ(俺だ)”という。しかしながらディック・フランシスにだけ
は、絶対にそのセリフは、言わせない!」と言った。彼:ディック・フランシスの生み出す
主人公があまりにも魅力的であるがための嫉妬であろう。
今回の主人公もいい。31歳、史上最年少でミシュランの星を受けた男料理人(シェフいや、
ここはあえて、コックと言うべきか)。繊細で野心家、暴力は好まないが、その前に屈服する
のも好まない。典型的な「競馬シリーズ」の主人公だと思う。

本作は、ディック・フランシスと息子:フェリックス・フランシスの共著となっており、
フェリックスの影響も所々に見られる。たとえば主人公が「グーグル」で手掛かりを検索する
当りはフェリックスのアイディアではなかろうか。
また物語のなかで、主人公とその異父兄:トビイはディック・フランシスと息子:フェリックス
のようでもあり、主人公と彼の恋人となるヴィオラ奏者:キャロラインの関係は、
亡きフランシス夫人:メアリとの関係のようにも思える。

息子との共著になったり、翻訳家が変ったり、これまでのファンの方々には心配される
面があろうと思いますが、今作もしっかりと「競馬シリーズ」しております(主人公は、
骨折しても「鎮痛剤(アスピリン)」を飲んで寝れば復活するし・・・)ご心配なく
お読みください。
本当は、星5つだが、主人公:マックスがあまりにも良い漢(おとこ)過ぎるので
星マイナス1にしました(笑)。

PS.主人公が、或る場面で、命からがら逃げだした時(全裸で!)に助けてくれるご婦人
が好き。


グッド! オー! 大ファンでーす。
日本ではギャンブル、米国ではビジネス、英国ではスポーツ。これは競馬のことである。競馬シリーズと聞くと日本人はギャンブル小説と思い込むだろうが、この競馬シリーズは実に非常にスポーティなシリーズであり、またリサーチたっぷりの職人シリーズでもあるのだ。

いや、こんな基本的なこと書かなくていいか。

今回の主人公は31歳のシェフ。若いせいか(?)今までより紳士度は低いか。

『直線』あたり以降から、ストーリーを無視しても充分楽しめるような作風になったフランシス。今回もイイ。父のこと、兄のことなど、いいぞ。(何かの本で書いてあったが、北上次郎は「フランシスは家族を裏テーマにしている」と評)。ここらは本筋に関係なくても、感動する。

デキはといえば、さほどのものではないかもしれない。

だが『煙幕』?『骨折』のころの「水準は満たしても物足りない」ようなスランプ期とは違い、『騎乗』『帰還』『決着』に近い円熟味のある作品。つまりただ読んでいるだけで幸せになれる作品なのである。ファンとしては満足。安心した。

やはり(なるべく)これまでの全作品を読んでから読んだほうがずっと楽しめるはずだろう。

ただ訳文に今回はクレームをつけたい。主人公の会話文に「おれ」が多すぎる。テーブル=テイブルあたりはまだ菊池光を意識したのかもしれないが、全体的にあまりに菊池名文からかけ離れた。もっと本をちゃんと読んだほうがいいのではないか。

菊池光なら年上の女性に「おれ」はないだろう。私である。日本独自のTPOを駆使して菊池氏はすばらしい訳文を日本人に届けていたはずだ。これは女性訳者にはムリか? 競馬シリーズは紳士シリーズでもあるのだから、こういうことで印象を変えないで欲しいと思うのだが。

だが、そんなことに文句言う人は少ないのかも知れない。そして文句が少ないなら無視していいのだろう。所詮、出版はビジネス(そしてギャンブル)なのだから。

おれ、いや・・、私はただ出版もスポーツのようであって欲しいのだ(なにそれ)。

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