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骨折 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-11 競馬シリーズ)

骨折 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-11 競馬シリーズ)
ディック・フランシス

定価: ¥ 735
販売価格:
人気ランキング: 201579位
おすすめ度:
発売日: 1978-01
発売元: 早川書房
発送可能時期:

2組の不幸な父子関係
競馬シリーズの1972年の第11作。入院した父に替わり厩舎の面倒を見る主人公と、息子に冷たい父親。騎手志望のわがまま息子と、息子のためには手段を選ばない狂信的な父親。違った意味で不幸な2組の父子関係を描いた、ミステリ仕立てのホームドラマと言うべき話。こういう話は、普通に描けばドロドロしたものになってしまう。だが本書では、キビキビと進むストーリーの中で、サラリと描かれていく。しかも、サラリと描かれているのに、鮮烈な印象が残る。フランシスはつくづくうまい作家だと思う。また、馬の調教を中心とした、厩舎の日常が生き生きと描かれているのも、おもしろかった。

香り高き逸品
この競馬シリーズの中では人気のない方だと思うが、自分としては一番好き。人気のない理由は主人公に人間的な弱さが見えないことかも知れないが、ここまで甘さを排除した人間は魅力的だ。「骨折」というキーワードは本書の中で重要な役割を果たしていて、多分「甘くない」世界の象徴なんだろう。プライドを持って「甘くない」世界に立ち向かう人間の賛美、がテーマかな。とにかく朝の馬場に吹く風のような、冷たくて爽やかな逸品です。

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